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ライブドア・二重の虚構

ライブドア・二重の虚構―夢から覚めたという夢
南堂 久史
ブイツーソリューション、2006/8/10

ライブドアの証券取引法違反事件がなぜこれほど社会的影響の大きな事件になったかを、報道・検察・人々の錯覚、といった視点から検証する。文章はそれほど洗練されていないが、ライブドア事件が「魔女狩り」という趣旨は理解できる。

事件そのものは冷静に見れば50億の経理の不適正処理であって、起訴されるほどでなかったにもかかわらず、人々の「騙された」という錯覚が実態以上に事件を大きくし、6000億円以上の被害となったと主張している。同種の事件としてNECなどの不正経理のケースもとりあげられ、ライブドアだけがなぜ起訴されるに至ったか、を述べている。

ちょうど本事件が騒がれている時期に、ほぼ同種の事件を引き起こした日興コーディアル証券では証券取引委員会による勧告にとどまり、社長の逮捕の「た」の字も出なかったことと比較して、当時からライブドアに対する捜査については不透明な意図がささやかれていた。事件の骨格についてはだいたい知ってはいたが、本書で改めて一通り整理することができた。
事件担当の検察官が起訴後に異動・辞職していたことで検察のライブドア起訴が誤りであったことを暗に認めていることや、東証がライブドアの突出した取引量によるシステムリスクを除くために異常なほど迅速に上場廃止の措置をとったことなどについては、改めて腑に落ちる説明だった。
また、たまたまNHKが検察が強制捜査に入る前に「強制捜査に入った」と誤報し、証拠隠滅を恐れたために事件規模に比して異常に大がかりな体制になったことなど、マスコミの無責任さが一端を担っているということも初めて知った。

ただ、ライブドアでは堀江社長のリーダーシップが経営上非常に重要であり、彼が逮捕されたことで企業自体の信用が他の一般的な企業よりも大きく傷ついたことは間違いがないので、その点について言及がなかったことは少し分析が不足しているのではないかと感じた。


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