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ブッシュ家とケネディ家

ブッシュ家とケネディ家
越智道雄
朝日選書、2003.7.25

アメリカの歴史で父子二代にわたって大統領をつとめたのは、ジョンアダムズ父子(第2代、第6代)とブッシュ父子(第41代、第43代)の二例だけ、祖父と孫でもウィリアムヘンリーハリスン(第9代)とベンジャミンハリスン(第23代)の一例だけで、まれなことであることがわかる。
本書は、アイルランド系カトリックのケネディ家と、生粋のWASPでありながら南西部資本にも足をかけるブッシュ家を対比させ、アメリカの大統領をめぐるパワーポリティクスの深層を描く。
WASPに対抗してアイルランド系として初の大統領をめざしながら、第二次大戦時駐英大使としてヒトラーに肩入れしすぎて夢やぶれるJFKの父ジョーケネディの描写や、ブッシュ息子はバカを演じられるだけの器量を持っていることを示すエピソード、など、興味深い内容が多い。しかし、翻訳調の上指示詞が何を指しているのかわからない文体や、必ずしも時系列にエピソードが並んでいなくて複雑に行き来するなどして、非常に読みづらい。言うならば、せっかく高級なネタを贅沢にそろえているのに、変にいじって素材の味を殺してしまった料理のような本になっている。

しかし[イラク戦争を再開する]最大の理由は、以下に述べる事態である。2001年時点でアメリカの貿易赤字は4500億ドル、自国を破産させないためには日欧からの投資(米国債・社債購入もしくは直接投資)が不可欠となる。つまり、アメリカは孤立して、伝統的なモンロー主義には戻れない。他方、日欧その他にとって、アメリカは消費市場としての役目しかない。総じて世界はアメリカをますます必要としなくなりつつある。しかしアメリカは世界をますます必要としつつある。つまり、あらゆる形で世界(特に日欧)から金を取り立てないと立ち行かなくなりつつあるのである。世界をむりやり引きつけておくには、世界最強の兵力を保持し、今回のイラク侵攻のように、確実に勝利が見込める弱い国相手に戦争をしかけ、短期間に勝利を勝ち取って、世界を恐れさせ続けないといけない。(p.184-185)
イラクのような産油国は、アメリカのために必要なのではなく(米はベネズエラ、メキシコ、カナダから石油の大半を輸入)、むしろ中東の石油が不可欠な日欧に常に自国への投資を続行させるカードとして、イラクの親米化が必要なのだ。(p.184)

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