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ぷちナショナリズム症候群

ぷちナショナリズム症候群
香山リカ
中公新書、2002.9

「『自己決定』『自己責任』ということばが、どうしても好きになれません。医療の現場でも、医師は検査所見や今後の見通し、治療の種類について十分に説明した上で、『さあ、あとはあなたが決めてください』とかんじゃの自己決定にゆだねるべし−そういう雰囲気が広まっています。しかし、そこで自分の命についてまで決定を迫られている『自己』とは、いったい何なのでしょうか。『個の意思』とは、それほどしっかりしたものなのでしょうか。説明のあとで患者が『やっぱり私は手術はやめておきます。自然食でなんとかします』と言ったとしたら、多くの医師は『医学的にはそんな方法でなおる可能性はないのに』と知りながらも、それ以上、説得をすることもなく『そうですか、ではどうぞ』と診察室を出る患者の姿を見送るでしょう。それは、表面的には個を尊重する態度にも見えますが、実は知識や力を持っている側がすべての責任を引き受ける面倒を回避しているだけで、患者側にとってのメリットは余多くないのではないでしょうか。」(p.179-180)

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